歴史と背景
左下り観音は、西暦830年に徳一によって建立されたと伝えられています。山の中腹の岩を切り開いて建造された高さ14.5メートルの美しい三層閣で、その壮麗な見栄えは京都の清水寺の舞台を思わせます。最上階からは会津盆地が一望できる景勝地でもあります。本尊は聖観音であり、そのほかに首のない謎めいた無頸観音が祀られています。
無頸観音には、10世紀はじめの伝承があり、ある追われ者が左下り観音堂で首をはねられた際、その首が観音の石頸に化したとされています。この石像は秘仏とされ、その神秘的な魅力から多くの信仰を集めています。
建築の特徴
観音堂は岩場に作られた懸造(かけづくり)で、五間(約9メートル)四方、高さ四丈八尺(約14.5メートル)の木造三層閣です。東向きに廻り縁が設置されており、当初は修験道の入行前に籠るための行堂として建てられたと考えられています。延文3年(1358年)には、蘆名家の家臣である富田将監祐義によって修復されたと伝えられています。
文化財としての価値
左下り観音堂は、2014年(平成26年)9月30日に福島県の重要文化財に指定されました。その歴史的価値と建築の美しさから、多くの人々が訪れる名所となっています。
このように、左下り観音はその歴史と伝承、そして美しい建築から成る魅力的な文化遺産です。訪れる人々に深い感動と信仰をもたらし続けています。