法用寺は、福島県大沼郡会津美里町にある天台宗の寺院で、山号を雷電山、院号を妙行院と称します。本尊は十一面観音です。この寺院は「仏都会津」発祥の地として、会津仏教文化を色濃く残しており、多くの貴重な文化財を保有しています。
法用寺は寺伝によれば、養老4年(720年)に得道上人によって会津美里町蓋沼の北、堂平坊ヶ沢に創建されました。その後、火災に見舞われましたが、大同年間(806年 - 810年)に徳一が現在の場所に再興したと伝えられています。嵯峨天皇の祈願所であり、恵日寺が建つまでは多くの末寺を有していたという歴史があります。
会津で最も古い天台宗の名刹であり、会津三十三観音の第29番札所でもあります。法用寺はまた、会津坂下町の恵隆寺に次いで会津で二番目に古い寺院とされています。かつては修験道の隆盛に伴い、多くの修行者が住み、33の坊も存在したと伝えられています。
法用寺の境内には、木造金剛力士立像(国指定の重要文化財)や会津最古の厨子(国指定の重要文化財)、銅鐘(県指定の重要文化財)、そして雪国会津には珍しい三重塔(県指定の重要文化財)などが立ち並んでいます。これらの文化財は、かつての隆盛を今に伝えています。
本尊は十一面観音像で、火中仏として安置されており、秘仏となっています。現存する版木からその姿を想像することができます。さらに、境内には他にも多くの文化財があり、歴史と文化を感じさせる場所です。
春には「会津五桜」の一つである虎の尾桜が咲き誇り、野点茶会も開催されます。虎の尾桜はオオシマザクラ系のサトザクラで、葉が花よりもやや先に芽吹く珍しい品種です。おしべが花びら化することで知られており、淡い色合いの花を咲かせます。この桜は、歴代の領主たちも訪れ観賞した名木です。
秋には境内の大銀杏が美しく色づき、訪れる人々を魅了します。境内は自由に散策でき、観光ガイドの案内を利用することで、より深く寺院の歴史や文化を知ることができます。
法用寺はまた、福島県指定重要文化財として以下のものがあります:
これらの文化財は、法用寺がいかに長い歴史と深い文化を持つ寺院であるかを示しています。
毎年1月7日に雀林地区で行われる「蛇の御年始」は、法用寺の伝統を偲ばせる行事です。この地域に根付いた文化と信仰が、今も大切に受け継がれています。
法用寺は、貴重な文化財と美しい自然に囲まれた、会津仏教文化の重要な拠点です。訪れる人々に、歴史と文化の深さを感じさせる素晴らしい場所です。