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こづゆ

温かいもてなしを体現する、見た目も華やかで味わい深い一品

会津人のもてなしの心が詰まったこづゆは、豆麩、ニンジン、サトイモ、糸こんにゃく、きくらげ、青物野菜などを干し貝柱で取っただし汁で煮込み、朱塗りの椀に盛る、会津地方を代表する郷土料理です。会津藩のごちそう料理として生まれ、今も祝いごとには欠かせない料理です。

こづゆは干し貝柱のだし汁がベースとなり、上品で奥深い味わいです。具材はの下ごしらえが丁寧に行われ、素材本来の味を生かした優しい味わいが楽しめます。

歴史と由来

こづゆの起源は、江戸時代後期から明治時代初期にかけて会津の武家料理として広まりました。会津藩の砲術師範を父に持つ、大河ドラマの主人公にもなった新島八重も食べていたと伝わります。具の数は「割り切れない数」として奇数を用いるのが習わしで、小さな朱塗りの手塩皿に盛ります。

福島県には、会津塗と言われる赤い漆塗りの器があります。この会津塗の中でも、浅めに作られた「手塩皿」に貝柱のだしで煮込んだ豊富な具材を盛り付けたのが「こづゆ」です。「こじゅうのつゆ」がなまって「こづゆ」となったと言われています。

こづゆは100年以上前から食べられており、昔は「一の重」「二の重」あるいは「一の露」「二の露」と二つのお椀に分けて供されていましたが、昭和60年代頃からは一つのお椀で「こづゆ」として提供されるようになりました。似た郷土料理として、郡山市の「つゆじゅう」がありますが、具材や出汁の違いがあります。

こづゆは、交通や冷蔵・冷凍技術が発達していなかった時代、内陸に位置する会津地方で新鮮な魚介類を用意することが難しかったため、乾物を使った料理として定着しました。専用の手塩皿に盛り、「何杯でもおかわりしてください」という意味を持つことで、正式な祝いの席でもお代わりを申し出ることが無礼には当たりません。

食べるシーン

こづゆの提供場面として、お祝い事、法事、正月、お盆など、人が集まるハレの日によく食べられます。特に冠婚葬祭の際には「手塩皿」に盛りつけて供されることが一般的で、婚礼時には欠かせない一品です。宴会の最中にふるまわれることが多く、こづゆは酒の肴として楽しまれ、何杯でもおかわりしてよいとされています。

また、祝い事や祭りの際に来客をもてなす料理として長い間受け継がれてきました。具材は7または9種類にすると縁起が良いとされており、奇数であることが好まれます。

作り方

主な使用食材には、貝柱、きくらげ、里芋、糸こんにゃく、干し椎茸、白玉麩(まめふ)、にんじん、わらびなどがあります。干し貝柱、干しいたけ、ニンジン、里芋、糸こんにゃく、きくらげ、豆麩、青物などの具材を貝柱の戻し汁で煮込み、材料がやわらかくなったら豆ふを入れ、少し煮込んで醤油または塩で味を調え、椀に盛って完成です。

各材料を下ごしらえして食べやすい大きさに切り、干ししいたけや貝柱のだしで煮込みます。具材には、貝柱などの海の幸とわらびや里芋などの山の幸の両方がバランスよく入っているのが特徴です。昔は卵焼きを入れる家庭もありました。切り方や材料、味付けは各家庭により異なり、それぞれに個性豊かなこづゆが作られています。

こづゆの文化

こづゆは、単なる料理ではありません。会津の人々の温かいもてなしの心を表すものです。

提供店

こづゆは会津地域の和食料理店や郷土料理店などで提供されています。

Information

名称
こづゆ

会津・喜多方

福島県