レトロな街並みと現代の魅力が融合する通り
現在の七日町通りは、JR七日町駅から野口英世青春通りまで約700メートルにわたって続く観光名所として親しまれています。この通りに一歩足を踏み入れると、20世紀初めの洋館や土蔵造りの建物が立ち並び、まるで大正時代へタイムスリップしたかのような感覚を味わうことができます。
木造商家や蔵造りの建物が連なる街並みは、どこか懐かしく、訪れる人々を優しく包み込みます。特に近年は、古き良き建物をリノベーションしたカフェや雑貨店、ギャラリーなどが増え、伝統とモダンが共存する魅力的な空間へと生まれ変わっています。
伝統工芸と文化を受け継ぐ街
七日町通りの魅力のひとつは、会津伝統工芸が今も息づいていることです。通り沿いには、絵ろうそくや会津塗、会津木綿などの工芸品を扱う老舗が並び、昔ながらの技を間近で感じることができます。中でも「ほしばん絵ろうそく店」は、江戸時代から続く会津藩御用達の老舗として知られ、職人が一本一本丁寧に描く絵ろうそくは芸術品のような美しさを誇ります。予約をすれば、絵付け体験もできるため、旅の思い出作りにもぴったりです。
また、会津塗の名店「白木屋漆器店」では、300年以上の歴史を持つ会津塗の伝統と技に触れられます。土蔵造りの洋館風店舗では、伝統的な漆器からモダンなアクセサリーまで、千点以上の品々が並び、まるで美術館のようです。この店舗は会津若松市の歴史的景観指定建造物にも登録されており、外観だけでも十分見応えがあります。
味覚で楽しむ七日町 ― 郷土の味と香り
満田屋の味噌田楽
通りの中ほどにある満田屋は、創業150年以上の老舗味噌屋です。味噌蔵を改装した趣ある店内では、囲炉裏を囲みながら炭火で焼き上げた「みそ田楽」を楽しむことができます。香ばしい味噌の香りが店内に広がり、会津の食文化を体感できる一軒です。こちらの建物も歴史的景観指定建造物に登録されており、大正浪漫の雰囲気を味わいながら食事を楽しめます。
末廣酒造 嘉永蔵と喫茶・杏
会津が誇る老舗酒蔵「末廣酒造 嘉永蔵」では、六つの酒蔵や木造三階建ての住居を見学できます。蔵見学や試飲は無料で、会津の酒造りの伝統と技を間近で感じることができます。併設の「喫茶・杏」では、酒の仕込み水を使ったコーヒーやオリジナルスイーツを味わえ、落ち着いた時間を過ごせます。
郷土料理の名店「渋川問屋」
渋川問屋は、大正時代の風情が色濃く残る会津の郷土料理店です。人気の「祭り御前」は、会津の旬の食材を使った品々が並ぶ豪華な膳で、2,100円から楽しむことができます。隣には旅館も併設されており、まるで昔の会津に滞在しているような感覚を味わえます。
お菓子の老舗「長門屋 七日町店」
嘉永元年(1848年)創業の長門屋 七日町店は、150年以上の歴史を誇る菓子店です。会津のくるみを使った銘菓や、可愛らしい駄菓子など、地元の素材を生かしたお菓子が並びます。上品な甘さと繊細な味わいで、お土産にも人気があります。
街歩きと観光スポット
七日町通りには、おしゃれなショップやカフェだけでなく、歴史的名所も数多く点在しています。新選組副長・土方歳三が宿泊した「清水屋旅館跡」や、斎藤一の墓がある「阿弥陀寺」、そして「会津新選組記念館」など、新選組ゆかりの地を巡ることもできます。歴史好きにはたまらないスポットが揃い、往時の会津の風情に思いを馳せながらの散策が楽しめます。
周遊バス「ハイカラさん」で巡るレトロ旅
会津若松市内には、レトロなデザインの周遊バス「ハイカラさん」が運行しており、七日町通りをはじめとする主要観光地を気軽に巡ることができます。大正浪漫あふれる街並みの中を、ゆったりとバスで巡る旅も人気です。
駅カフェでひと休み ― 地元の恵みとぬくもり
旅の拠点となるJR七日町駅構内には、「あいづふるさとアンテナショップ 駅カフェ」があります。ここでは会津地方17市町村の特産品や雑貨が販売されており、観光客に人気のスポットです。レトロな駅舎をリノベーションしたカフェスペースでは、水出しコーヒーや地元スイーツを味わいながら、旅の疲れを癒すことができます。
歴史・文化・グルメが融合する七日町通りの魅力
七日町通りは、会津若松の歴史と文化、そして人々の温かさが息づく特別な場所です。蔵や洋館が立ち並ぶレトロな通りは、歩くだけで心が穏やかになる不思議な魅力に包まれています。工芸や食、歴史に触れながら、ゆっくりと街の空気を感じてみてください。きっと、会津の奥深い魅力と人々のぬくもりを感じられることでしょう。
かつて市が開かれ、旅人でにぎわったこの通りは、今もなお多くの人々に愛され、訪れる者に「懐かしさ」と「新しさ」を同時に届けてくれます。あなたもぜひ、会津若松・七日町通りで、大正浪漫の香り漂う時間旅行をお楽しみください。