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東山温泉

(ひがしやま おんせん)

東山温泉は、福島県会津若松市に位置する名湯であり、「会津の奥座敷」と称される歴史ある温泉地です。山形県の上山温泉、庄内の湯野浜温泉とともに、かつて「奥羽三楽郷」と呼ばれ、多くの人々に親しまれてきました。開湯は今からおよそ1300年前、名僧・行基による発見と伝えられており、自然の恵みと歴史が調和する東北屈指の温泉郷として名を馳せています。

四季折々の美しい風景

東山温泉の魅力は、温泉そのものだけでなく、四季の移ろいを鮮やかに映す自然景観にもあります。春には桜が温泉街を彩り、初夏は新緑がまぶしい山々が訪れる人を迎えます。秋には燃えるような紅葉が渓谷を染め上げ、冬には雪見風呂という贅沢な楽しみが待っています。四季折々に異なる表情を見せる自然と温泉が織りなす風景は、訪れるたびに新しい感動を与えてくれます。

会津若松市中心部からの近さ

人口12万人を抱える会津若松市の中心地から車でわずか10分ほどという便利さも、東山温泉の大きな特徴です。市街地からほど近い場所でありながら、豊かな自然と歴史情緒に浸れるこの温泉地は、観光や湯治の拠点として理想的な存在です。

歴史と由緒

東山温泉は、奈良時代の天平年間(729~749年)に行基菩薩が三本足の烏に導かれて発見したと伝えられています。その伝説は今なお語り継がれ、温泉に神秘的な魅力を添えています。江戸時代には会津藩の湯治場として大いに栄え、藩主や藩士のみならず、多くの人々が訪れる温泉地として発展しました。

会津の歴史と温泉の関わり

会津民謡「会津磐梯山」に登場する小原庄助とも縁深い温泉であり、歴史的にも多くの著名人が訪れています。豊臣秀吉、新選組副長・土方歳三、白虎隊、伊藤博文といった歴史上の人物に加え、近代では与謝野晶子や竹久夢二などの文人墨客もこの地を愛しました。東山温泉は、まさに会津の歴史と文化を映す鏡ともいえる場所なのです。

戊辰戦争と東山温泉

戊辰戦争の際には、傷を負った兵士たちが湯治のために訪れたと伝えられています。特に土方歳三が戦傷を癒したとされる「不動滝」の源泉は、今なお旅館に受け継がれており、歴史を肌で感じさせてくれる名所のひとつです。

泉質と効能

東山温泉の泉質は、硫酸塩泉(カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物温泉)で、無色透明のさらさらとしたお湯が特徴です。効能としては、リウマチ性疾患、運動器障害、慢性皮膚疾患などに効果があるとされ、身体の芯から温めて湯冷めしにくい性質を持っています。旅の疲れを癒し、心身をリフレッシュさせるのに最適なお湯といえるでしょう。

豊富な湯量

温泉街を流れる湯川からは毎分1500リットルという豊富な湯量が湧き出しており、各旅館やホテルで贅沢に掛け流しで楽しむことができます。この恵まれた環境が、東山温泉を東北屈指の温泉地たらしめています。

温泉街の魅力

鶴ヶ城から南東に約3kmの場所に広がる温泉街は、湯川の両岸に20軒以上の旅館やホテルが立ち並び、温泉情緒あふれる景観を形成しています。現在でも芸妓が活躍しており、「からり妓さん」と呼ばれる芸妓たちが温泉街を華やかに彩っています。

歴史ある旅館と文化

温泉街には、会津藩の指定保養所であった「向瀧」、藩主の別荘から発展した「新滝」、そして土方歳三が傷を癒したと伝わる源泉を持つ「不動滝」など、歴史的背景を持つ宿が今も残っています。それぞれの宿には滝にちなんだ名前が付けられており、自然との結びつきや歴史の深さを感じさせてくれます。

東山温泉盆踊り

毎年8月13日頃から約1週間にわたり「東山温泉盆踊り」が開催されます。温泉街の中心で行われるこの行事は、住民と観光客が一体となって踊りに興じる夏の風物詩であり、訪れる人々に忘れられない思い出を残します。

東山四大滝

温泉街を流れる湯川には数多くの滝が存在し、その中でも「雨降り滝」「原滝」「向滝」「伏見ヶ滝」の4つは東山四大滝と呼ばれています。特に「雨降り滝」は高さ10m、幅16mを誇り、水が段状の大石に砕け散る様子が雨のように見えることからその名が付きました。四大滝は温泉街の散策とともに楽しめる自然の名所であり、訪れる価値のあるスポットです。

滝と温泉の調和

四大滝はいずれも温泉街から徒歩圏内にあり、散策途中に気軽に立ち寄ることができます。滝の清涼感と温泉の温かさが同時に楽しめるのは、東山温泉ならではの魅力といえるでしょう。

交通アクセス

鉄道とバス

東山温泉へのアクセスは非常に便利です。JR会津若松駅からは会津乗合自動車の路線バスで約15分。まちなか周遊バス「ハイカラさん」や「あかべぇ」も運行しており、観光とあわせて快適に訪れることができます。

高速バス

郡山駅と会津若松駅を結ぶ高速バスも運行しており、首都圏からのアクセスにも適しています。東山温泉を目的地とした直通便もあるため、観光客にとって利用しやすい交通手段となっています。

車でのアクセス

磐越自動車道・会津若松ICから国道49号などを経由して約20分。市街地からも近く、ドライブ旅行の途中に立ち寄るのにも便利です。

まとめ

東山温泉は、約1300年の歴史を持つ東北屈指の温泉地であり、行基による発見から会津藩の湯治場、そして現代の観光地へと発展してきました。四季折々の自然、豊富な湯量と優れた泉質、歴史に裏打ちされた宿や文化、さらには四大滝や盆踊りといった見どころが、訪れる人々を魅了します。会津若松市街地から至近距離という利便性も大きな魅力であり、歴史探訪と癒しの旅を同時に楽しめる温泉郷です。訪れる人にとって心身を癒すとともに、会津の文化と歴史に触れる貴重な体験となるでしょう。

Information

名称
東山温泉
(ひがしやま おんせん)

会津・喜多方

福島県