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夏井川渓谷・背戸峨廊

(なついがわ けいこく せどがろ)

自然が創り出す秘境の美

夏井川渓谷と背戸峨廊は、福島県を代表する自然景勝地として知られています。長い年月をかけて清流が削り取った断崖や奇岩、そして迫力ある滝が織りなす景観は訪れる人々を魅了し、四季折々の彩りを楽しませてくれます。静かな清流のせせらぎや、風に揺れる木の葉の音に包まれながら、自然と調和した時間を過ごせるこの場所は、まさに心身をリフレッシュするのに最適なスポットです。

四季折々の魅力

夏井川渓谷は、一年を通して多彩な表情を見せます。春にはアカヤシオや桜が咲き誇り、山肌を鮮やかなピンク色に染めます。夏には瑞々しい新緑が広がり、渓流の涼やかな風とともに避暑地として人気を集めます。秋には11月上旬から中旬にかけて紅葉が見頃を迎え、燃えるような赤や黄金色の景色が訪れる人々を楽しませます。そして冬には、雪景色の中で静寂に包まれた幻想的な渓谷を堪能することができます。

アカヤシオの見どころ

特に春に咲くアカヤシオ(岩ツツジ)は必見です。籠場の滝や夏井川渓谷錦展望台周辺の岩場に群生し、4月上旬から中旬にかけて見頃を迎えます。この季節には、JR磐越東線が徐行運転を行い、車窓からも鮮やかな花景色を楽しむことができます。アカヤシオは福島県のレッドデータブックにおいて準絶滅危惧種に指定されており、自然の貴重な存在として大切に守られています。

夏井川渓谷の名所

約16キロメートルにわたる夏井川渓谷は、阿武隈山系の花崗岩を削り出して形成された渓谷美が魅力です。渓谷内には多くの見どころが点在し、訪れる人々を飽きさせません。

夏井川渓谷錦展望台

アカヤシオの群生地として知られる錦展望台は、特に午前11時頃に太陽光が差し込み、山肌をピンク色に輝かせる美しい光景が広がります。満開の時期には花びらが光を受け、まるで発光しているかのような眩しさを誇ります。

背戸峨廊 ― 沢登りの名所

背戸峨廊は江田駅付近で夏井川に注ぐ江田川の流域に位置し、約5キロメートルにわたって奇岩や滝、淵が続きます。屏風岩や廻り淵などの見どころを経て、地元方言で「最初」を意味するトッカケの滝まで沢登りを楽しむことができます。所要時間は往復で約1時間。梯子や鎖が設置された箇所もあり、冒険心をくすぐる散策コースとして人気です。

大滝踏切と籠場の滝

渓谷の象徴的なスポットには、映画『釣りバカ日誌8』のロケ地にもなった大滝踏切があります。落差5メートルの滝と、美しい曲線を描くブルーの大滝橋梁が織りなす風景は絶好の撮影ポイントです。
また籠場の滝は「藩主が籠を止めて見入るほど美しい」と伝えられる滝で、マイナスイオンを感じながら対岸の岩肌に咲くアカヤシオを楽しむことができます。

周辺の自然と山々

夏井川渓谷の周辺には個性豊かな山々があり、登山やアウトドアを楽しむ人々にも人気です。標高735メートルの水石山は放牧場やピクニック園地として親しまれ、標高716メートルの二ツ箭山はロッククライミングの名所として知られています。

渓谷に息づく動植物

夏井川は阿武隈高地中部を源とし、渓谷を深く削りながら太平洋へと流れます。上流部にはイワナやヤマメといった渓流魚が生息し、急峻な斜面にはアカヤシオやトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジなどのツツジ類が群生します。さらに閼伽井獄の社寺林では、モミの大木を交えた落葉広葉樹林が広がり、クサアジサイやタマアジサイ、クワガタソウなどの暖地性植物が見られる豊かな生態系が息づいています。

まとめ

夏井川渓谷と背戸峨廊は、四季折々の景色と自然のダイナミズムを体感できる福島県の秘境です。春のアカヤシオ、夏の新緑、秋の紅葉、そして冬の静寂と雪景色と、一年を通して訪れる価値があります。沢登りや展望台からの眺め、滝や奇岩といった多彩な名所に加え、動植物の豊かな生態系も魅力のひとつです。
日常の喧騒を離れ、大自然の中で心身を解き放つ旅先として、夏井川渓谷・背戸峨廊は訪れる人々に忘れられない体験を提供してくれることでしょう。

Information

名称
夏井川渓谷・背戸峨廊
(なついがわ けいこく せどがろ)

いわき・相馬

福島県