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いわき市 住吉神社

(すみよし じんじゃ)

航海安全と国家鎮護の神として古くから崇敬されてきた神社

住吉神社は、福島県いわき市小名浜に位置する神社です。式内小社であり、旧社格は県社に分類されます。

歴史

社伝によれば、住吉神社の創建は景行天皇の御代に遡ります。当時、武内宿禰が勅命を受けて東北地方を巡視した際、当地が海と陸の要害の地であり、東北の関門にあたるため、航海安全と国家鎮護のために住吉三神を祀ったとされています。

延喜式神名帳には陸奥国磐城郡七座の一社として小社に列しており、康平7年(1064年)には前九年の役にあたり朝廷から勅使が遣わされ、東国の賊徒討伐を祈願しました。寛永18年(1641年)には泉藩主内藤政晴によって社殿が改築され、現在の本殿はこの時に建てられたものです。明治4年(1871年)に郷社、昭和3年(1928年)に県社に列しました。

境内の見どころ

本殿は寛永18年(1641年)の再建で、昭和33年(1958年)8月1日に福島県指定重要文化財に指定されました。延喜式内社であり、全国住吉七社の一社としても数えられています。建内宿禰が創立し、東北一の社として崇敬された歴史ある神社です。

全国住吉七社の一社

住吉神社は全国に多数存在しますが、住吉神社本殿は延喜式内磐城七社の一つとして、平安時代から現在の場所に社殿を有し、移転することなく今日に至っています。住吉神社は安産、海上安全、清祓、学問、芸術の神として信仰されており、特に10月には古式に即した祭礼として勅使参向式と流鏑馬が行われ、県内でも数少ない流鏑馬神事が見られます。

住吉神社の年中行事

祈年祭:2月中旬に神職総代の手により毎年行われます。

蝗祈祷(むしぎとう)祭:6月中旬に神職総代の手により毎年行われます。

例大祭:10月中旬に勅使参向式、流鏑馬、巫女舞などの神振行事が同時に催され、多くの参詣人が訪れます。

由緒

福島県いわき市小名浜は先史時代には海湾でした。湾内にあった小さな岩山が海食の跡を残して現在も存在しており、古代において船旅をする人々にとって灯台のような役割を果たしていました。この岩山は神格化され、その麓に社が祀られるようになったと言われています。

第12代景行天皇の御代に、時の大臣建内宿禰が勅命を奉じて東北地方を巡視した際、この住吉が東北の関門にあたるため、航海安全と国家鎮護のために祀られました。康平7年(1064年)には、朝廷が勅使を遣わして東国の賊徒平定を祈願しました。源頼義も源家の宝刀鵜の丸の剣を献じて武運を祈念しています。

御神徳

住吉神社の御祭神である住之江三神(表筒之男命、中筒之男命、底筒之男命)は、厄祓いや清祓いの御神徳を持ち、古くから多くの人々が厄除けや清祓いのために訪れています。また、住吉の大神様は学問の神、芸能神としても崇敬され、出世や受験、進入学などの際に多くの参詣者が訪れます。

さらに、交通安全や海上安全、安産の神としても信仰されており、商売繁盛の神としても崇められています。

境内の自然と建築

境内の広さはおよそ1万㎡あり、四季折々に目を楽しませてくれる豊かな自然に包まれています。磯山と呼ばれる境内地を南北に分ける岩山は、第三紀層の砂れき岩でできており、昔は遠浅の海岸だったことを示す海食の跡が見られます。この磯山は蓬莱山とも呼ばれ、御神体山として畏敬の意を表しています。

住吉神社の建築は、まず本殿が建てられ、その後拝殿や祗候殿などが次々と造られてきました。現在でも、御神体を奉安している本殿を中心にして、拝殿、祗候殿などの建築が並び、歴史的な雰囲気を醸し出しています。

住吉神社の社殿と参道

住吉神社の本殿は寛永18年(1641年)に改築され、昭和33年に県の重要文化財に指定されました。江戸中期には平藩の領主であった内藤家により参道が寄進され、現在も道路として残る参道は馬場とも呼ばれ、馬の訓練に使用できる真っ直ぐな道です。

明治時代になると国家神道の隆盛に伴い住吉神社も発展しました。住吉の地は藤原川と矢田川に囲まれた場所にあり、度重なる川の氾濫により経済的には困難な時期もありましたが、昭和時代に渡邊繁が社掌として着任し、戦後には宮司となって本殿の大改修を行い、県重要文化財に指定されるなど、現在に至る発展の基礎を築きました。

おわりに

住吉神社は、延喜式内社であり、平安時代から現在の場所に社殿を有する歴史ある神社です。全国住吉七社の一社に数えられ、様々な御神徳を持つ神社として、地域の人々や訪れる参詣者に広く崇敬されています。豊かな自然に囲まれた境内と歴史的な建築が織り成す風景は、訪れる人々に深い感動を与えます。

Information

名称
いわき市 住吉神社
(すみよし じんじゃ)

いわき・相馬

福島県