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中野不動尊

(なかの ふどうそん)

日本三大不動尊の一つ、歴史と霊験あふれる寺院

中野不動尊は福島県福島市飯坂町中野に位置する曹洞宗の寺院です。正式には中野山大正寺と称され、福井県の曹洞宗大本山永平寺の直末寺でもあります。この寺院は、日本三大不動尊の一つに数えられ、「中野のお不動様」として古くから信仰を集めています。日本における六三除けの祈祷の発祥の地とも伝えられています。

歴史と信仰

1179年(治承3年)春、恵明道人が1匹のカモシカに導かれ、この地に入山しました。恵明道人は未踏の地であった中野の山中に洞窟を掘り、不動明王を祀ったが始まりです。各施設を建立して寺院として整備していきました。その後、修験道場として発展し、多くの信徒を集めました。

明治時代初期には、修験道弾圧の影響で不滅の聖火が消えかかってしまう危機もありましたが、山を守ろうとする信徒たちの努力により、1903年(明治36年)に曹洞宗の寺院として再建されました。厄除け、眼守、三ヶ月の三つの願いを叶えるとされる三不動明王が祀られており、多くの参拝者が訪れています。

本尊と祈祷

中野不動尊の境内には、本堂の「厄除不動明王」、祈祷殿の「眼守不動明王」、そして奥の院洞窟内の「三ヶ月不動明王」の三体の不動明王が祀られています。どの不動明王も真剣な願いであればどんなことでも叶えると信じられ、福島県内でも有数の参拝者数を誇る寺院です。

不滅の聖火と不動明王

中野不動尊は恵明道人が山神のお告げによって不動明王を祀り、不滅の聖火を灯した聖地としても知られています。その聖火は現在も奥の院洞窟内の中で「不滅の燈明」として燃え続けています。厄除不動明王、眼守不動明王、三ヶ月不動明王の三体が祀られ、願いが真剣であれば叶うとされています。

参拝と行事

特に初詣の時期には多くの参拝者が訪れます。また、七五三や年末年始の参拝、御本尊が見学可能な「歳祭り」「春祭り」などの行事も多くの人々を引き寄せます。

年中行事

主な施設

中野不動尊の境内には様々な施設があります。その中には岩窟の清水や不動滝、大日堂、奥の院などがあり、それぞれが歴史や信仰の象徴となっています。

主要施設

こと清水と岩窟の清水

「こと清水」は祈祷殿の地下から湧き出る清水で、こと姫の美しい姿が水に映ったことからその名がつきました。参拝者はここで手を洗い、地蔵尊に水を手向け、五慾を流してから奥の院に進みます。「岩窟の清水」は奥の院の洞窟から湧き出る清水で、水温は13.5度、ミネラルに富んだ飲料水です。とげぬき地蔵に手向ければ三毒が取り除かれ、飲用すれば活気がでるといわれています。

とげぬき地蔵

こと清水の中に立っている地蔵尊です。「とげぬき」とは、人間の五慾・三毒・四苦・三障を取り除くことを意味します。参拝者は、自分の気になる場所を地蔵尊のお体に照らし合わせてたわしでこすることで、悪いところが良くなるようにと願います。

祈祷殿

祈祷殿には眼守不動明王が祀られており、眼病祈祷のほかに智慧学問、交通安全などの眼に関わる祈祷が行われます。総ケヤキ造りのお堂の内外には佐藤玄々の彫刻が見られ、中でも「力持ち」の彫り物は有名です。

大日堂

奥の院洞窟の入り口にそびえる三層の建物が大日堂です。昭和五十四年に開山八百年を記念して建てられました。最上層の本尊は大日如来で、二十年ごとに開帳されます。脇立に不動明王と愛染明王が並び、大間の両側の経蔵には三万巻の般若心経が納められています。

奥の院と不滅の聖火

奥の院のご本尊は三ヶ月不動明王で、治承三年に恵明道人がこの地に訪れた際に山神のご宣託を受け、奥の院の洞窟内に祀りました。この洞窟には「不滅の聖火」が燃え続けており、この聖火は中野不動尊のシンボルであり、人々の心でもあります。洞窟内部には三十六童子が祀られており、洞窟めぐりも楽しめます。

七つの洞窟

奥の院には七つの洞窟があり、これは昔修行者が雨露を凌ぐために穿たれたもので、今もなお参拝者に開放されています。洞窟内には三十六童子も祀られています。

寂光門

奥の院洞窟めぐりの出入り口の一つで、最東端に位置する唐風重層の門です。七月中旬には「夏のお茶会」が催され、滝しぶきの涼やかな緑陰のもとお抹茶が振る舞われます。

あんど釜

弘安六年ごろにこの地方で疫病が流行した際、不動明王のお示しによって山主が大釜で薬草を煎じ、病人に与えたところ忽ち治りました。それからこの釜は「あんど釜」と呼ばれるようになりました。現在の大釜は当時のものではありませんが、重さ一噸半あり、四俵の米を一度に炊くことができます。

本堂

中野不動尊の本堂は中野山大正寺と称されます。治承三年に開創されましたが、明治初期ごろに明治維新による修験道弾圧がもとで不滅の聖火も消えようとしていました。しかし、信徒たちにより本堂が建てられ、永平寺64世貫首の森田悟由禅師を勧請して開山されました。ご本尊は御深草天皇の持仏とされる「厄除不動明王」です。

お休処(茶屋かもしか庵)

お休処(茶屋かもしか庵)は本店と西店があり、参拝者の無料休憩所となっています。薬草茶の十貴茶が振る舞われており、参拝の合間に立ち寄ることができます。

中野不動尊は、歴史と信仰が深く根付いた寺院であり、訪れる人々に安らぎと祈りの場を提供しています。参拝者は豊かな自然と歴史に触れながら、自らの願いを込めて訪れることができます。

Information

名称
中野不動尊
(なかの ふどうそん)

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