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いか にんじん

ニンジンとスルメを使った、サラダ感覚の伝統的な漬物

いかにんじんは、多くの人たちに愛され食べ継がれてきた、福島地方の郷土料理です。ニンジンとスルメを使ったサラダ感覚の漬物で、家庭ごとに作り方も味も異なります。近年は北海道の松前漬けの影響を受け、昆布や数の子を入れる場合もあります。

初冬に出回る長にんじんを使用し、長期間保存するために冬期のみ各家庭で作られていましたが、近年は一年中にんじんが出回るようになり、各家庭に冷蔵庫が普及したため、一年を通して食べられるようになりました。また、福島市内の漬物会社でも製品として作るようになり、市内のスーパーマーケットなどで販売されています。

作り方と味わい

スルメとニンジンを細切りにし、醤油、日本酒、みりんなどで味付けします。各家庭で主に晩秋から冬にかけて作られ、おつまみ、おかずとして親しまれています。いかにんじんは、するめいかとにんじんを細切りにし、醤油とざらめ、またはみりんの甘辛いたれに漬けたおかずです。にんじんとするめの食感と甘味のあるつけだれがクセになり、ご飯が良く進む一品です。

歴史と文化

いかにんじんは100年以上前から食べられていて、家庭によって味付けが異なります。スナック菓子の味に採用されたり、かき揚げや炊き込みご飯などのアレンジ料理が展開されたりと、さまざまな形で愛されています。北海道の郷土料理である「松前漬」とよく似ていると言われますが、松前漬には昆布が入っており、いかにんじんには入っていないという違いがあります。しかし、松前漬がいかにんじんのルーツ、あるいはその逆であるという説もあり、二つの料理にはつながりがあると考えられることが多いです。

松前漬けの原型説

一説には、1807年に蝦夷地(現在の北海道)松前藩が梁川藩に国替えになった際に、家臣がいかにんじんを知り、1821年に再度蝦夷地に国替えになったときに持ち帰って特産の昆布などを加え松前漬けを作ったと言われています。

食習の機会や時季

現在はいかにんじんは通年、一般的な惣菜として食べられていますが、もともとは冬に保存食として作られていました。つけだれに数日漬けて出来上がるいかにんじんは、長持ちするため、雪が多く冬に作物を収穫しにくい福島で重宝されていたという歴史があります。また、正月に欠かせない郷土料理としても親しまれています。ご飯のおかずとしてはもちろんのこと、酒のつまみとしても好まれています。

飲食方法

細切りにしたするめいかとにんじんを、ざらめ(あるいはみりん)、酒、醤油を煮たてた調味液に漬けます。半日ほど置いたら完成ですが、数日漬けこむとより味が染み込みます。地域によっては仕上げにいりごまをかけることもあり、ごまの風味がプラスされ、さらにおいしく食べられます。

町おこしと知名度向上

いかにんじんはシンプルな家庭料理であるため、もてなしの料理としては見られなかったが、福島市出身のタレント佐藤B作がテレビで紹介したことをきっかけに、地元ではいかにんじんに注目し、地域の名物としてPRを始めました。B作の出身地である福島市内の飯坂温泉でも、各旅館が冬の食膳の一品として客に提供しています。

Information

名称
いか にんじん

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