福島市写真美術館は、福島県福島市に位置する、主に写真を展示することを目的とした美術館です。別名「花の写真館」で、花の写真を中心に展示されています。2003年(平成15年)、福島市中心部の信夫山の麓に開館しました。
日本を代表する写真家の秋山庄太郎が、昭和50年代に初めて市内渡利にある花見山公園、その美しさに魅了されました。それ以来、秋山氏はほぼ毎年春に花見山公園を訪れ、「福島には桃源郷がある」という名言と共にその美しい光景を全国に紹介しました。これにより、花見山公園は全国的に知られる花の名所となり、多くの写真愛好家や観光客が訪れるようになりました。
福島市は秋山氏の功績を称え、2001年(平成13年)に「福島市ふるさと栄誉賞」を授与し、その際に秋山氏が撮影した多くの作品が福島市に寄贈されました。これを機に、福島市写真美術館が秋山氏の「想い」を象徴する施設として2003年に開館しました。
この美術館は、秋山氏の寄贈作品を中心に展示する常設展示室と、市民が利用できるフォトギャラリーを併設しています。これにより、写真愛好家をはじめとする多くの市民に親しまれる施設となりました。
福島市写真美術館の建物は、1922年(大正11年)に逓信省電気試験所福島試験所として建てられ、その後日本電気計器検定所として使用されていました。この建物は石造2階建て、寄棟造りで、瓦葺きの屋根を持つ大正時代の近代建築です。玄関周りを外壁面から張り出し、屋根上部まで伸びたパラペットやレリーフ、玄関屋根廻りの意匠が特徴的です。この建物は2002年(平成14年)6月に市有形文化財に指定され、福島市の歴史的建築物として親しまれてきました。
この建物は、1922年に逓信省が東北・北海道・樺太(サハリン)地域の管轄を目的として建設したものであり、当初は電気試験所福島試験所として使用されました。その後、日本電気計器検定所福島試験所が引き続き使用していましたが、1998年に同施設が仙台市へ移転したため、建物は空き家となり、2000年に福島市に譲渡されました。大正時代に建てられた官衙建築の遺構が乏しい中、この建物は石造りの遺構として非常に貴重であり、保存意義が高い建造物です。