独特なフォルムと愛される理由
完成当初からこのガンダム像は、アニメの原作に登場するガンダムとは異なる「へたれ」な姿が注目を集めました。縦長の頭部、少し猫背の体勢、がに股気味の立ち姿など、どこか人間味を感じさせるフォルムが、多くの人の心を和ませています。こうした特徴が逆に人気を呼び、やがて「へたれガンダム」という愛称で全国に知られるようになりました。
地域と共に歩む存在
製作者は完成後まもなく他界され、この像は彼の遺作ともなりました。風雨に晒され錆びつくたびに、地元住民や有志の手で何度も塗り直されてきました。特に福島第一原発事故の除染作業員やファンの協力もあり、地域の象徴として大切に守られています。その姿は、まるで「地域の守り神」として親しまれるまでになりました。
ビームライフル盗難事件とその後の奇跡
2020年5月、像に取り付けられていた鉄製のビームライフルが何者かに盗まれるという事件が発生しました。しかしその後、全国のファンが善意で代わりの武器を次々と届け、ショットガン型の模型や木製ライフルなどが設置されました。さらには、福島工業高校の生徒たちが新たな鉄製ビームライフルを制作して寄贈するという心温まる出来事もありました。これらのエピソードは、地域とファンが一体となって「へたれガンダム」を支える姿を象徴しています。
現在のへたれガンダムと地域の盛り上がり
現在、「へたれガンダム」は観光バスが立ち寄るほどの人気スポットとなっており、福島市と二本松市を巡るサイクルイベント「サイクルボール」の通過地点にも指定されています。像の足元には賽銭箱が置かれ、訪れる人々が修繕費のために浄財を投じるなど、まるで神社のような存在として親しまれています。
愛とユーモアに満ちた象徴
「完璧ではないからこそ愛される」――この言葉がまさにへたれガンダムを表しています。その姿は、人々に笑顔と優しさを届ける存在であり続けています。今もなお、盗まれたビームライフルは見つかっていませんが、地域とファンの絆がこの鉄の像を支え続けています。
所在地情報
所在地:〒960-1103 福島県福島市平石駒ケ池この場所はGoogleマップでも確認可能で、現在も多くの観光客が写真を撮りに訪れています。へたれガンダムは、福島の地に根付き、地域の誇りとして今も静かに立ち続けています。