ムシムシランドは、福島県田村市にある昆虫をテーマにしたユニークな観光施設です。「日本で唯一の虫の楽園」を掲げ、夏季限定で開放されるカブトムシドームを中心に、昆虫標本を展示するカブト屋敷、バーベキュー施設や宿泊施設などを備えています。自然に近い環境で放し飼いされたカブトムシと直接触れ合える体験が人気で、昆虫好きの子どもから大人まで幅広く楽しめるスポットです。
1989年にオープンしたカブトムシ自然観察園を前身とし、現在も夏季限定で開放される「カブトムシドーム」では、1,000匹を超えるカブトムシが放し飼いされています。訪れる人々は自由に触れ合いながら、昆虫の生態を間近に観察することができます。
「カブト屋敷」では、貴重な昆虫標本や世界の昆虫の展示が行われており、観察を通じて昆虫の多様性や自然との関わりを学べます。展示解説や飼育方法のレクチャーもあり、昆虫を知る学びの場としても大変魅力的です。
園内にはバーベキューが楽しめるグリルマウンテンや、宿泊可能な「スカイパレスときわ」なども整備されています。昆虫観察とアウトドアを組み合わせた観光が楽しめるのもムシムシランドならではの魅力です。
ムシムシランドの歴史は、1988年に旧常葉町が「カブトムシ自然王国」を建国したことに始まります。地元で盛んだった葉たばこ栽培と、その肥料となる腐葉土に産卵するカブトムシを地域おこしに活用し、ふるさと創生事業を活かして整備されました。
1991年に「ムシムシランド」が正式オープンし、当時は日本一の長さを誇る全長400mのローラー滑り台やサイクルモノレールも設置され、年間15万人が訪れる人気遊園地としてにぎわいました。しかし2005年の田村市への合併後、震災や原発事故の影響で一時閉園や来場者数の減少に見舞われました。
2012年に営業を再開して以降、地域と連携した再生の取り組みが進められました。2018年には放送作家・鈴木おさむ氏監修による「世界三大奇蟲展」が開催され、来場者数は震災前の水準を超える盛況となりました。さらにYouTuber「ちゃんねる鰐」とのコラボ企画など、時代に合わせた新しい発信を行い、多くの注目を集めています。
2022年には「第1回全国クワガタサミット」において「昆虫の聖地」宣言を発表。インセクトツーリズムを推進し、地域全体を昆虫観光の拠点とする取り組みが進められています。オオムラサキやオオクワガタの繁殖活動、エノキの植樹なども実施され、将来的にはふるさと納税の返礼品化も検討されています。
2023年には全国15の自治体が参加する「昆虫の聖地協議会」が発足し、同年にはリニューアルオープンを果たしました。その結果、震災後最多となる来場者を記録し、全国的な注目を集めています。
〒963-4601 福島県田村市常葉町山根字殿上160
・開園期間:7月中旬〜8月下旬(水曜休園)
・昆虫館のみ:8月下旬〜11月下旬の土日祝日開館
・開園時間:9:30〜16:30
ムシムシランドは、昆虫好きにとって夢のような体験ができる「虫の楽園」です。歴史的背景や地域振興の象徴としての役割を担いながら、震災を乗り越え、新しい観光スタイル「インセクトツーリズム」を切り開いています。家族連れや昆虫ファンはもちろん、自然や地域再生に関心のある方にとっても訪れる価値のあるスポットです。田村市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。