特徴
三春滝桜は日本五大桜または三大巨桜の一つとして広く知られています。2012年時点での推定樹齢は1000年以上、樹高12メートル、根回り11メートル、幹周り9.5メートル、枝張りは東西22メートル・南北18メートルに及びます。この桜は、三春町の滝地区に位置し、毎年4月中旬から下旬にかけて四方に広がった枝から薄紅色の花が流れ落ちるように咲き誇ることから、その名がつけられました。毎年全国から30万人の観光客が訪れます。
歴史と保護
天保の頃、加茂季鷹の詠歌「陸奥にみちたるのみか四方八方にひびきわたれる滝桜花」によってその名が広まり、三春藩主の御用木として保護されるようになりました。
- 1922年(大正11年)10月12日 - 他の2本の桜と共に国の天然記念物に指定されました。
- 1990年(平成2年) - 「新日本名木100選」の名木ベスト10に選ばれ、「日本さくら名所100選」には滝桜を含む約2000本の「三春町のシダレザクラ」が選ばれました。
- 1996年(平成8年) - 春に花付きが極端に悪くなったため、土壌の通気と根系の回復を中心とした樹勢回復工事が行われました。
- 2005年(平成17年)1月 - 大雪で枝が十数本折れる被害に見舞われました。
- 2008年(平成20年)から2009年(平成21年) - 三春滝桜を含む14種の桜の種が国際宇宙ステーション「きぼう」に8カ月半滞在し、無重力状態が発育に与える影響を調べる実験が行われました。
- 2011年(平成23年) - 東日本大震災では小枝が折れる被害がありましたが、滝桜自体には大きな損傷はありませんでした。しかし、観光客への対応が困難となり、観桜料の徴収を一時停止し、夜間ライトアップやシャトルバスの運行も中止されました。
子孫樹・姉妹樹
1960年頃、柳沼吉四郎と木目沢伝重郎が三春滝桜とその周囲にある枝垂れ桜の伝承・由来を調査した結果、田村郡内では三春滝桜の半径10キロ以内に、根回り1メートル以上の枝垂れ桜が420本以上分布していることが分かりました。これらの桜は滝桜の子孫樹であることが確認されました。
柳沼吉四郎は三春滝桜の種を日本全国に普及させる活動を行い、これにより各地で滝桜の子孫樹が植樹されるようになりました。2010年時点で三春町では接ぎ木などの方法を含めて7軒の農家が滝桜の生産を行っています。
日本三大桜
三春滝桜は、大正11年10月12日に桜の木として初めて国の天然記念物に指定された名木です。皇居宮殿の正殿松の間を飾る橋本明治画伯の杉戸絵「櫻」や、赤坂サカス赤坂Bizタワーの壁画「四季樹木図」(千住博画伯)は、滝桜をモデルに描かれています。
開花期には四方に伸びた枝から、薄紅色の小さな花が無数に咲き、その様子がまるで滝のように見えることから「滝桜」と呼ばれるようになりました。日本三大桜には、根尾谷淡墨桜(岐阜県本巣市)、山高神代桜(山梨県北杜市)、そして三春滝桜が含まれます。
訪れる価値
三春滝桜は、樹齢1000年以上と推定されるベニシダレザクラで、その美しさと歴史的価値から日本三大桜の一つに数えられています。薄紅色の小さな花が枝いっぱいに咲き、その姿は滝のように見えるため「滝桜」と名付けられました。正面から見る花と幹の美しさは圧巻です。また、夜間にライトアップされた滝桜も一見の価値があります。