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こおりやま文学の森資料館

郡山ゆかりの文学をたどる場所

こおりやま文学の森資料館は、福島県郡山市に位置する文学をテーマとした資料館です。郡山市にゆかりのある作家を中心に、多くの文学資料を収蔵・展示しており、文学を愛する人々や地域の文化に関心を持つ方々に親しまれています。豊かな自然に囲まれた敷地内には庭園も整備され、四季折々の風景を楽しみながら文学の世界に浸ることができます。

設立の経緯と歴史

久米正雄邸宅の移築をきっかけに

資料館は2000年(平成12年)に開館しました。そのきっかけとなったのは、小説家・劇作家として知られる久米正雄の鎌倉の邸宅が親族から郡山市へ寄付され、郡山総合体育館に隣接する地に移築されたことです。この貴重な文化財を守り、文学を後世に伝えるために設立されたのが、こおりやま文学の森資料館です。

安積開拓の地に建つ文化拠点

資料館は、かつて安積開拓の中心であった開成山の地に位置しています。この場所は、郡山市の歴史や発展を象徴する地域であり、文学と歴史が融合する文化拠点として、多くの人々に愛されています。

展示内容と見どころ

常設展示と企画展

館内では、郡山市ゆかりの文学者に関する資料が常設展示されているほか、年に数回の企画展も開催されています。これにより、訪れるたびに新しい文学的な発見を楽しむことができます。

主な展示作家

展示の中心となる作家には、久米正雄をはじめ、宮本百合子、真船豊、中山義秀、高山樗牛、玄侑宗久など、郡山市や福島にゆかりのある著名な文学者が名を連ねています。また、石井研堂の『明治事物起原』や『中浜万次郎』など、文学史に欠かせない貴重な資料も見ることができます。

久米正雄記念館

敷地内には久米正雄記念館が併設されており、鎌倉から移築された彼の邸宅を見学できます。ここでは、久米正雄が実際に生活していた空間に触れることで、作家の息遣いを感じられる貴重な体験ができます。

庭園と文学碑

資料館の周囲には、久米正雄をはじめとする文学者の句碑や胸像が設置されており、文学と自然が調和した空間が広がっています。四季折々の花々に彩られた庭園は、訪れる人々の心を和ませるとともに、文学的な情緒を引き立てています。

久米正雄について

多彩な才能を持つ文学者

久米正雄(1891年~1952年)は、日本の小説家・劇作家・俳人で、俳号を三汀(さんてい)としました。特に“微苦笑”という言葉の造語者としても知られています。彼は芥川龍之介らとともに「新思潮」の同人として活躍し、初期には理知的な作風を持ちながら、のちには感傷的な通俗小説へと転じました。

代表作と業績

代表作には戯曲『牛乳屋の兄弟』(1914年)、小説『受験生の手記』(1918年)、『破船』(1922年)などがあります。彼の作品は時代の空気を反映し、多くの読者に愛され続けています。

アクセス情報

公共交通機関

JR郡山駅西口7番バス乗り場から「さくら循環」に乗車し、「総合体育館」で下車(所要時間約15分)すると、徒歩ですぐにアクセスできます。市街地からの利便性が高く、観光客にとっても訪れやすい立地です。

自動車利用

東北自動車道郡山インターチェンジから郡山インター線、内環状線を経由し、開成2丁目交差点角に位置しています。所要時間は約20分で、駐車場も完備されているため、車での来館も便利です。

まとめ

こおりやま文学の森資料館は、郡山の歴史と文学が交わる場所として、多くの人々に親しまれています。久米正雄をはじめとする郡山ゆかりの作家たちの作品や資料を通じて、文学の深みを感じることができるだけでなく、庭園や記念碑により文学の息遣いを身近に体験できます。郡山を訪れる際には、ぜひ立ち寄りたい文化スポットのひとつです。

Information

名称
こおりやま文学の森資料館

郡山

福島県