福島県 > 南会津 > 湯野上温泉

湯野上温泉

(ゆのかみ おんせん)

茅葺き屋根の駅舎と渓谷美に包まれた温泉郷

湯野上温泉は、福島県南会津郡下郷町に位置する温泉地で、渓谷の自然と歴史的な風情を今に伝える魅力的な温泉郷です。全国的にも珍しい茅葺き屋根の駅舎を持つ「湯野上温泉駅」があることで広く知られており、訪れる人々を江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気で迎えてくれます。さらに、源泉かけ流しの豊富な湯量と肌にやさしい泉質は、観光客だけでなく地元の人々にも愛され続けています。

温泉の特徴と泉質

湯野上温泉には複数の源泉があり、猿湯、上ノ湯、姥湯、舘ノ湯、舘新湯など、名前に由来のある源泉が存在しています。泉質は単純温泉で、源泉温度は約60℃。無色透明でやわらかな湯は、肌あたりが良く、老若男女を問わず安心して楽しむことができます。疲労回復や冷え性の改善、美肌効果があるとされ、日頃の疲れを癒やすのに最適です。

源泉かけ流しの魅力

温泉宿の多くは源泉かけ流しを採用しており、各宿泊施設ごとに新鮮なお湯が供給されています。立ち寄り湯を行っている施設もあり、気軽に本格的な温泉を体験できる点も湯野上温泉の魅力です。

温泉街と湯めぐり文化

大川の渓谷沿いには約18軒の旅館や民宿が並び、自然と調和した温泉街の景観を形成しています。散策を楽しみながら温泉宿を巡る「湯めぐり」も盛んで、こけし型の湯めぐり手形が発行されています。この手形を利用すると3つの温泉に入浴でき、さらに塔のへつり近くの工房で絵付け体験をすることができます。温泉だけでなく、旅の思い出を形に残せる点も観光客から好評です。

足湯と癒しの時間

温泉街には足湯も整備されており、気軽に温泉を楽しめます。特に会津鉄道会津線の湯野上温泉駅には、平成24年に足湯が設置され、春には満開の桜を眺めながら足湯に浸かるという贅沢な体験ができます。

歴史と開湯伝説

湯野上温泉の歴史は古く、奈良時代にはすでに岩間から湧き出る温泉が利用されていたと伝えられています。当時は住民が入浴や生活用水として活用していましたが、交通の便が悪く、広く知られるようになるのは明治時代に日光街道(現在の国道121号)が開通してからです。

温泉宿のはじまり

温泉宿が登場したのは明治20年代頃とされ、当初は宿に風呂がなく、渓谷沿いの湧き湯まで下りて入浴する必要がありました。その後、昭和期に入ると水力を利用した揚湯が始まり、宿泊施設に内湯が設けられるようになりました。やがて温泉は一般家庭にも供給されるようになり、生活の一部として根付いていきました。

猿湯の伝説

開湯伝説として語り継がれているのが「猿が温泉に入浴していたのを人々が発見した」という話です。この逸話は現在も源泉名の「猿湯」にその名残を留めています。

湯野上温泉駅 ― 茅葺き屋根の駅舎

湯野上温泉を象徴するのが、茅葺き屋根の駅舎を持つ「湯野上温泉駅」です。全国でも数少ない茅葺き駅舎のひとつで、待合室には囲炉裏が設けられ、風情豊かな雰囲気を味わうことができます。囲炉裏は茅葺きの虫除けや湿気防止の役割も担っており、地域の伝統的な暮らしを反映しています。

受賞歴と評価

こうした特徴から、2002年には「東北の駅百選」に選ばれ、2005年には「日本鉄道賞・特別賞」を受賞しました。駅名標には「江戸風情と湯けむりの里」と刻まれ、観光客にとって忘れられない旅の玄関口となっています。

観光スポットと周辺環境

湯野上温泉周辺には魅力的な観光地が点在しており、温泉と合わせて訪れることで充実した旅行を楽しめます。

塔のへつり

大川渓谷にある奇岩「塔のへつり」は、長い年月をかけて自然が作り出した景観美で、国の天然記念物にも指定されています。四季折々に変化する風景は訪れる人々を魅了します。

大内宿

茅葺き屋根の古民家が立ち並ぶ宿場町「大内宿」は、湯野上温泉駅からも近く、多くの観光客が訪れる人気スポットです。そばをねぎで食べる「ねぎそば」や民芸品も楽しめます。

周辺の温泉地

芦ノ牧温泉や岩瀬湯本温泉など、周辺には個性豊かな温泉地もあり、会津地方の温泉文化を広く楽しむことができます。

アクセス情報

湯野上温泉へのアクセスは便利で、会津鉄道会津線・湯野上温泉駅から徒歩約15分の距離に温泉街があります。自家用車の場合も国道121号線が整備されており、東北地方各地から訪れやすい立地です。

まとめ

湯野上温泉は、歴史ある温泉と独特の文化を今に伝える貴重な温泉郷です。茅葺き屋根の駅舎、源泉かけ流しの温泉、湯めぐり文化、そして周辺の豊かな観光スポットが揃い、訪れる人々に癒しと感動を与えてくれます。自然と伝統が調和するこの温泉地は、日常を離れて心身

Information

名称
湯野上温泉
(ゆのかみ おんせん)

南会津

福島県