岩瀬湯本温泉は、福島県岩瀬郡天栄村にある歴史ある温泉地です。この温泉は、9世紀の初め頃、嵯峨天皇の病気を治すために発見されたと伝えられており、その発見には最澄や空海との関わりもあったと言われています。湯治場として利用されてきた岩瀬湯本温泉には、ひっそりと立ち並ぶ茅葺き屋根の温泉宿があり、昔ながらの風情と素朴な懐かしさを今に伝えています。
岩瀬湯本温泉の泉質は含土類石膏食塩泉で、特に婦人病や消化器病などに効能があるとされています。塩化物泉であるため、切り傷ややけどにも効果があり、身体を温める効果が高いとされています。温泉の温度は40度強で、じっくりと肩まで浸かることで身体の芯から温まるのを感じることができます。
岩瀬湯本温泉には2軒の旅館が存在し、共同浴場と足湯もあります。共同浴場は地元住民用ですが、旅館に宿泊すれば利用することができます。また、「ゆもと湯けむり5名湯」というスタンプラリーを定期的に開催しており、岩瀬湯本温泉の他にニセコ湯本温泉、岩手湯本温泉、いわき湯本温泉、長門湯本温泉が参加しています。
岩瀬湯本温泉の開湯は約1200年前の平安時代に遡り、嵯峨天皇の病を癒したとの伝承があります。天皇の病気治癒を目的とした温泉調査の際に発見されたとされ、古くから湯治場として親しまれてきました。1841年(天保12年)創業の「ひのき風呂の宿 分家」は、当時の風情を今に伝える宿として温泉を守り続けています。
伝承によると、湯本温泉は嵯峨天皇に仕えた星三兄弟によって発見されました。病に倒れた天皇を救うため、兄弟は神のお告げに従い薬となる「湯の花」をこの地に求めました。温泉を探し当てた兄弟は、湯の花を天皇に献上し、病はたちまち治ったと言われています。天皇は兄弟をこの地に住まわせ、それ以来兄弟は温泉を守ることになりました。この伝承は、現地の星姓の多さとも関係があるとされています。
岩瀬湯本温泉の自慢の風呂は宿名の通りヒノキ造りで、浴室に入ると木の香りに癒されます。泉質は塩化物泉で、水素イオン指数(pH)は6.9です。切り傷ややけどなどに効くとされる温泉は、じっくりと浸かることで体の芯から温まります。透明な湯は、外からの光を反射する成分によりやや白濁して見えることがあり、浴槽に散る茶色い湯の花を見つけると伝承といにしえの世界に思いをはせることができます。
岩瀬湯本温泉は、戊辰戦争の際に「官軍にも賊軍にもくみしない」として宿を焼き払われましたが、明治初期に建て替えられました。築150年となる「ひのき風呂の宿 分家」は、歴史の荒波にさらされながらもたくましく乗り越え、茅葺き屋根の手入れや建物の維持に余念がありません。
天栄村と白河市を結ぶ県道沿いに位置する道の駅「羽鳥湖高原」では、村自慢の特産品を取り扱っています。ツーリングやスキー、ドライブなどで訪れる観光客が足を止め、特産品に舌鼓を打っています。特におすすめなのは「ヤーコンメンチ」で、サクサクの衣に包まれたジューシーな具の中でシャキシャキのヤーコンが存在感を放ちます。具には味噌が練り込まれており、ソースはお好みで楽しめます。