ブナと生きる只見の自然を再現
館内のメイン展示「ただみ・ブナの物語」では、ブナ林の中に息づく生き物たちをリアルに再現しています。イワナが泳ぐ大きな水槽や、町で見られるクマ・テンなどの剥製展示、町民が寄贈した昆虫標本などが展示されており、四季折々の只見の自然を感じることができます。さらに、日本と世界のブナを比較した展示もあり、ブナ林がもつ生態的価値を学ぶことができます。
暮らしと自然が共存する展示
M2階には「只見の自然と暮らし」コーナーがあり、山間部の生活に欠かせなかった民具が展示されています。山仕事に使われた道具、狩猟や漁撈の用具、採集に使う籠などが並び、豪雪地帯ならではの知恵と工夫が垣間見られます。また、「雪国・只見の手仕事」では、身近な植物を素材にした炊事道具や籠細工などを紹介。自然と共生してきた只見の人々の暮らしが丁寧に再現されています。
多彩な企画展と地域連携
2階の企画展示室では、年間3〜4回にわたり季節や自然にちなんだ企画展が開催されています。展示内容は写真や標本、民具などを中心に構成され、毎回異なるテーマで只見の魅力を伝えています。自然観察会や講演会などのイベントも定期的に実施されており、訪れるたびに新しい発見があるのも魅力です。
また、共通入館券を利用すると、近隣のふるさと館田子倉にも入館でき、田子倉ダム建設により湖底に沈んだ旧田子倉集落の自然や文化についても学ぶことができます。只見の歴史と自然環境の両面を知る貴重な機会となるでしょう。
只見ユネスコエコパークとブナ林の価値
只見町は、只見ユネスコエコパークとして2014年に世界的にも貴重な自然環境を有する地域に指定されています。町全域と桧枝岐村の一部を含む約78,000ヘクタールに及ぶこの地域では、ブナの天然林が約400平方キロメートルにも広がり、国内最大規模のブナ林とされています。豊かな自然環境がツキノワグマやニホンカモシカ、サンショウウオなど多くの生物の生息地を支えています。
このミュージアムは、そんな只見の自然と文化を総合的に学べる拠点であり、訪れる人々に「自然と共に生きる」ことの大切さを伝えています。展示を見た後、実際に町のブナ林を訪ねれば、学びと体験が結びつく素晴らしい旅となることでしょう。
まとめ ― 自然と人の共生を感じる場所
ただみ・ブナと川のミュージアムは、只見町の自然の豊かさと人々の暮らしの知恵を伝える、学びと発見の場です。ブナ林に息づく命の物語、清流が育む生態系、そして自然とともに生きる人々の文化。そのすべてを五感で感じることができるこの施設は、只見町を訪れる際にぜひ立ち寄りたいスポットです。