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馬場 都々古別神社

(ばば つつこわけ じんじゃ)

棚倉町を見守る陸奥一宮

馬場都々古別神社は、福島県東白川郡棚倉町に鎮座する由緒ある神社で、「陸奥一宮」として古くから崇敬を集めてきました。都々古別三社の一つであり、特に「上宮(じょうぐう)」に位置づけられる重要な存在です。境内には国指定重要文化財の本殿をはじめ、数多くの歴史的遺産や文化財が残されており、町の象徴として人々の信仰を集め続けています。

創建と由緒

社伝によると、創建は第12代景行天皇の御代にさかのぼります。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の折、白河市表郷の建鉾山(たてほこやま)に鉾を立て、地主神として味耜高彦根命(あじすきたかひこねのみこと)を祀ったのが始まりとされています。その後、大同2年(807年)には征夷大将軍・坂上田村麻呂が社殿を造営し、日本武尊を相殿神として祀りました。

さらに、寛永元年(1624年)には、棚倉藩主・丹羽長重が棚倉城を築城するにあたり、現在の地に遷座しました。このように、馬場都々古別神社は日本古代から近世に至るまでの歴史と深く結びついた神社です。

祭神と信仰

主祭神は味耜高彦根命で、農業や五穀豊穣を司る神とされています。相殿には日本武尊が祀られ、東北地方を平定した英雄神として崇められています。この二柱の神をお祀りすることにより、地域の安寧と発展を祈願する信仰が古代から続いてきました。

本殿と建築美

社殿の中でも特に注目されるのは本殿で、文禄3年(1594年)に佐竹義宣によって再建されたものと伝わります。寛永2年(1625年)に現在の場所へと移築された際にもその姿を保ち続けました。三間社流造という建築様式を持ち、屋根は銅板葺。装飾を最小限に抑えた簡素な造りが特徴ですが、その分、桃山時代の荘厳さと重厚さを今に伝えています。この本殿は、国の重要文化財に指定されています。

境内の見どころ

境内には樹齢数百年を数える古木が立ち並び、歴史を感じさせる厳かな雰囲気を漂わせています。拝殿は唐破風を持つ荘厳な佇まいで、参拝者を迎え入れます。また、近代画家・勝田蕉琴の筆塚もこの地にあり、文化的な価値も高い空間となっています。

摂末社

境内には甲山天満宮、稲荷神社、厳島神社、鹿島神社など複数の摂末社が祀られています。これらの社は学問、商売繁盛、武運長久など、多様な御利益をもたらすとされ、参拝者から篤く信仰されています。

文化財と社宝

馬場都々古別神社には数多くの貴重な文化財が所蔵されています。鎌倉時代の作とされる長覆輪太刀や、奥州最古といわれる赤糸威鎧残闕などが代表的です。これらは国指定の重要文化財として認定され、白河集古苑に保管されています。また、鉾型祭具や神社文書なども福島県指定文化財として大切に守られています。

祭事と年間行事

馬場都々古別神社では、年間を通じて様々な神事が行われています。1月1日の歳旦祭をはじめ、2月の節分祭、6月の大祓祭、9月の例大祭など、四季折々の祭礼は町民にとって大切な行事です。特に例大祭は盛大に執り行われ、町全体が賑わいを見せます。

アクセスと所在地

馬場都々古別神社は、福島県東白川郡棚倉町棚倉字馬場39に位置します。JR水郡線の磐城棚倉駅から徒歩約15分とアクセスも良好です。町の中心部からも近く、観光の際に立ち寄りやすい立地です。

まとめ

馬場都々古別神社は、古代から続く由緒正しい陸奥一宮であり、地域の信仰と文化の中心であり続けてきました。本殿をはじめとする歴史的建築物や貴重な文化財、豊かな自然に包まれた境内は、訪れる人々に深い感銘を与えます。棚倉町を訪れる際にはぜひ立ち寄り、その長い歴史と荘厳な雰囲気に触れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
馬場 都々古別神社
(ばば つつこわけ じんじゃ)

白河

福島県